半導体用メタルマスクの検査装置

印刷メーカー様から、「大型メタルマスクの検査を自動化したい」というご相談をいただきました。

メタルマスクとは、半導体の製造現場で回路を印刷する際に使用される薄い金属板のこと。非常に繊細で、わずかな歪みや傷が製品不良に繋がるため、1mmのズレも許されません。

これまで人の手で行われていた検査工程を、自動検査に置き換えることが本案件の目的でした。

高精度搬送と多品種対応の両立

本装置では、製品を吸着して搬送します。

しかし、吸着できる位置は製品ごとに異なり、持ち方を誤ると変形や破損に繋がります。さらに、左右2台の搬送ユニットで同時に動かす必要があり、どちらかがわずかに遅れるだけで1mm以上のズレが発生するため、同期制御の精度が極めて重要でした。

また、メタルマスクには形状違いが複数あり、それぞれ検査項目や処理順序も異なります。これをオペレーターがタッチパネルで選択すると、装置が自動で検査条件を切り替える仕組みを構築。

検査工程ごとの飛ばし処理や分岐制御もプログラム化し、多品種の製品を1台の装置で対応できるようにしました。

「NG判定」を人と機械で見極める仕組み

メタルマスクは非常に高価で、1枚の破損が数百万の損失になることもあります。

そのため、センサーがNGと判定してもすぐに排出せず、オペレーターに確認を促すフローを設計しました。

自動化の中にも“人の判断”を加え、タッチパネル上で「本当にNGか?」「再検査はするか?」を選択できるようにし、誤検知による廃棄リスクを最小限に抑えています。

PC連携による検査データの一元管理

お客様からの要望のひとつに、「検査データをすべてPCで管理したい」というものがありました。

装置から取得した検査結果や動作ログをリアルタイムでPCに送信し、製品ごとの履歴を保存できるように設計。

これにより、トレーサビリティの確保や品質分析の効率化が可能になりました。

繊細な製品を運ぶ制御技術

メタルマスクは非常に薄く、少したるんだり衝撃を受けたりするだけで折れてしまいます。

そのため、搬送中の速度変化や停止時の振動も細かく制御。吸着の強さ、送り出しのタイミング、停止位置――すべてをミリ単位で制御することで、高精度搬送を実現しました。

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