スカラロボットで精密プレス加工を自動化
「限られたスペースでも、位置精度の高い自動化ができないか」
――そんなテーマで開発されたのが、スカラロボット(水平多関節ロボット)を用いたプレス加工システムです。
今回はスカラロボットを使用することで、コンパクトながら高精度な位置決めを実現しました。
2次元動作による高精度な位置決め
スカラロボットは、水平方向に2次元で動作する構造を持ちます。
一般的な多関節ロボットのように上下動(Z軸の可動)がないため、動作が安定し、位置決め精度が非常に高いのが特徴。プレス加工のような繊細な位置合わせが求められる工程では、この構造が大きなメリットになります。
上下方向の動きはハンド部分に搭載されたZ軸・θ軸の機構で補い、プレス加工で必要になる押し込み動作や回転動作も一体で実現しました。
座標系と動作制約を考慮した制御設計
スカラロボットには「右手系」「左手系」という2種類の座標系があり、制御設計時にこれを誤るとエラーや逆動作の原因になります。
また、アームの動きが直線的で制約が多いため、一度の誤操作から安全位置へ戻す制御ロジックの設計も課題でした。
動作範囲をシミュレーションで正確に把握し、可動範囲を超えない範囲で最短軌道を通る動作設計を行うことで、安全性と速度を両立させています。
限られたスペースでの実装
スカラロボットは高さ方向の動きが少ないため、天井の低い場所や既存設備の隙間など、限られたスペースでも設置が可能です。
省スペースかつ高精度な動作を両立させたこの装置は、中小企業の自動化を後押しする次世代モデルとして期待されています。